耳栓とイヤーマフの選択は、主に使用環境、必要な騒音減衰レベル、快適性、コスト、再利用性などの要因に基づいて決まります。
一般的には、騒音レベルが非常に高い場合や、特定の音を聞く必要がある場合は電子イヤーマフやアクティブノイズキャンセリング機能付きのイヤーマフが適しています。一方、軽量で持ち運びが簡単なものが必要な場合は、耳栓がより便利です。
まずは、耳栓の使用目的を明確にしましょう。
使用目的を明確にする
耳栓の使用目的
- 騒音対策
工事現場や工場などの大きな騒音を防ぐ場合は、高い遮音性能が必要です。 - 睡眠用
騒がしい環境での睡眠を助けるために使用されることがあります。例えば、旅行中の飛行機内や、騒がしい宿泊施設などでの使用が一般的です。 - 集中力を高める
勉強や仕事で集中したいときには、適度な遮音性と装着感が重要です。 - 音楽やバイク用
音楽を聴いたり、バイクでの風切り音を防ぐためには、特定の周波数をカットする製品が適しています。 - 水の侵入防止
水泳やシャワー時に耳に水が入らないようにするために使用する場合もあります
イヤーマフの使用目的
- 騒音からの保護
特に高い騒音レベルに対して有効で、耳全体を覆うことで音を遮断します。工事現場、射撃場、空港の滑走路などでよく使用されます。 - 寒さからの保護
冷たい気候で耳を保温するためのイヤーマフもあります。これは、寒冷地での屋外活動やスポーツ時に使用されます。
耳栓とイヤーマフの種類
耳栓とイヤーマフのどちらを選ぶかは、使用環境や目的によって異なります。例えば、長時間の使用が予想される場合や、耳をしっかりと覆いたい場合はイヤーマフが適しています。一方で、持ち運びが容易で、目立たずに使用できるという利点を重視する場合は耳栓が好まれます。
耳栓の種類
- フォーム耳栓
- 素材: 柔らかいポリウレタンフォーム
- 特徴: 耳の形に合わせて膨らむため、フィット感が良い。使い捨てタイプが多く、安価で手軽に利用できます
- 用途: 睡眠、勉強、作業時の騒音対策など
- シリコン耳栓
- 素材: 柔らかいシリコン
- 特徴: 水泳時に使える防水タイプもあり、洗って再利用可能。耳の中で形を保ちやすく、長時間の使用に適しています
- 用途: 水泳、入浴、長時間の使用が必要な場面など
- フランジ耳栓(多段耳栓)
- 素材: シリコンやゴム
- 特徴: 複数のフランジ(輪状の突起)がついており、耳道にしっかりフィットするように設計されています。通常、再利用可能です
- 用途: 工業現場やコンサートなどの高騒音環境
- カスタムメイド耳栓
- 素材: シリコンやアクリル
- 特徴: 個人の耳の形に合わせて作られた耳栓。非常に快適で、長期間使用しても耳に負担がかかりにくいです
- 用途: 音楽家、射撃、特定の職業的用途など
- 電子耳栓
- 素材: 通常はプラスチックやシリコン
- 特徴: 外部の音を電子的に遮断し、必要に応じて音量を調整できるものもあります
- 用途: 射撃場や狩猟、コンサートなどの特定の環境
イヤーマフの種類
- パッシブイヤーマフ
- 特徴: 中に音を吸収するフォームやカップがあり、耳全体を物理的に覆うことで音を遮断します。電池不要で、メンテナンスが簡単です
- 用途: 工場、建設現場、空港、銃の射撃場など
- 電子イヤーマフ
- 特徴: 内蔵されたマイクロホンで周囲の音を拾い、必要な音(人の声など)は通しつつ、過剰な音(大きな爆発音など)を自動で遮断します。電池または充電式バッテリーが必要です
- 用途: 射撃場、狩猟、工業現場など、必要な音を聞き分ける必要がある場合
- アクティブノイズキャンセリング(ANC)イヤーマフ
- 特徴: 内蔵されたマイクが周囲の音を拾い、それに対する逆位相の音を生成して音を打ち消す仕組み。電池またはバッテリーで動作します
- 用途: 高騒音環境(航空機の整備、重機の操作など)、通勤中の騒音対策など
- 寒冷地用イヤーマフ
- 特徴: 耳を保温するために設計されており、通常、フリースやファーでできています。音の遮断は主目的ではありません
- 用途: 冷たい天候での屋外活動や日常使用
遮音性能
耳栓とイヤーマフの遮音性能は、通常「ノイズリダクションレート(NRR: Noise Reduction Rating)」で表されます。NRRは、耳栓がどれだけのデシベル(dB)の音を減衰できるかを示します。一般的な耳栓のNRRは20〜33dB程度、イヤーマフのNRR20〜31dB程度ですが、タイプによって異なります。
例えば、騒音が100dBの場合、NRR20の耳栓を選定すると、騒音レベルは80dBになります。一般的には、騒音レベルが70~80dBになるように、工事現場では、騒音レベルが80~85dBになるような耳栓やイヤーマフを選定するとよいです。
推奨の騒音レベルになる耳栓を選定しても、満足しない場合があります。
詳しくは別の記事にしますが、騒音には音の大きさを表す(dB)だけではなく、掃除機の高音やトラック走行時の低音音の高さを表す周波数(Hz)が関係してきます。
周波数ごとの遮音性能は、カタログのスペックに記載がない製品が多いです。選定にあたっては、評判や商品レヴューを参考にして何種類か試してみましょう。
フィット感
耳栓とイヤーマフのフィット感を評価する際には、以下のポイントを考慮することが重要です。
耳栓のフィット感の評価方法
- サイズの適合性
耳栓には様々なサイズがあります。耳の穴のサイズに合った耳栓を選ぶことが大切です。耳栓が大きすぎると耳に圧迫感を与え、小さすぎると十分な遮音効果が得られません。 - 材質の快適さ
耳栓の材質はフィット感に大きく影響します。例えば、フォームタイプの耳栓は柔らかく、耳の形に合わせて膨張するためフィットしやすいですが、シリコンやラバーマテリアルの耳栓は異なる感触とフィット感を持ちます。 - 密閉感
遮音効果を得るためには、耳栓が耳の穴にしっかりとフィットし、隙間を作らないことが重要です。耳栓を耳に入れたときに、しっかりと密閉されているかを確認します。 - 長時間の使用感
長時間着用する場合は、圧迫感や不快感がないかどうかも重要です。短時間の試着では気づかない不快感が長時間使用で現れることがあるので、長めに着けて試すことをお勧めします。
イヤーマフのフィット感の評価方法
- ヘッドバンドの調整
イヤーマフのフィット感はヘッドバンドの調整に大きく依存します。ヘッドバンドが調整可能で、自分の頭の形やサイズに合わせて適切にフィットするか確認しましょう。 - クッションの柔らかさと形状
イヤーマフのクッションが柔らかく、耳周りに快適にフィットすることが重要です。また、クッションの形状が耳全体をしっかりと覆うようになっているかも確認します。 - 圧力の均一性
イヤーマフが頭や耳に対して均一に圧力をかけているかどうかも重要です。圧力が均等でないと、ある部分にのみ過剰な圧力がかかり、長時間の使用で不快感や痛みを感じることがあります。 - 動いたときの安定性
頭を動かしたときにイヤーマフがしっかりと固定され、ずれたりしないかもフィット感の重要な要素です。動いても外れにくいものを選ぶと良いでしょう。
以上のポイントを基に、耳栓とイヤーマフのフィット感を評価し、自分に合った製品を選ぶことが重要です。フィット感が良ければ、長時間の使用でも快適で、効果的な遮音が期待できます。
メンテナンス
耳栓とイヤーマフのメンテナンスは、製品の効果を長持ちさせ、清潔に保つために非常に重要です。以下に、それぞれのメンテナンス方法について説明します。
耳栓のメンテナンス
- 使い捨て耳栓
- 清潔に保つ
使い捨て耳栓は通常、一度使用したら捨てるように設計されています。複数回使用すると、耳垢や汚れが付着し、不衛生になるだけでなく、遮音効果も低下します。 - 適切な保管
使い捨て耳栓は湿気のない清潔な場所に保管し、使用前に汚れていないか確認しましょう。
- 清潔に保つ
- 再利用可能な耳栓
- 洗浄
シリコンやゴム製の再利用可能な耳栓は、ぬるま湯と中性洗剤で優しく洗浄できます。洗浄後は、清潔な布で水分を拭き取り、しっかりと乾かしてください。 - 定期的な交換
再利用可能な耳栓も定期的に交換する必要があります。耳栓が劣化したり、フィット感が悪くなった場合は、新しいものに交換しましょう。
- 洗浄
- 保管
- 専用ケースの使用
再利用可能な耳栓には、付属の専用ケースに入れて保管することをおすすめします。これにより、耳栓が清潔に保たれ、紛失も防げます。
- 専用ケースの使用
イヤーマフのメンテナンス
- クッションの清掃
- 定期的な清掃
イヤーマフのクッション部分は、汗や皮脂が付着しやすいため、定期的に拭き取ることが重要です。柔らかい布に中性洗剤を少し含ませ、優しく拭き取った後、乾いた布で水分を拭き取りましょう。 - 取り外し可能なクッション
クッションが取り外し可能な場合は、外して洗浄できるか、交換用クッションを用意して定期的に交換するのも良い方法です。
- 定期的な清掃
- ヘッドバンドの手入れ
- 清潔な布で拭く
ヘッドバンド部分も汗や油が付きやすいので、清潔な布で定期的に拭き取りましょう。特に、スポンジやパッドが付いている場合は、そこも含めてしっかりと拭き取ります。
- 清潔な布で拭く
- 保管方法
- 適切な場所に保管
イヤーマフは湿気の少ない場所に保管するようにしましょう。直射日光や高温の場所は避け、できるだけ涼しい場所に保管すると、素材の劣化を防げます。 - 定期的な点検
破損や劣化のチェック: イヤーマフのクッションやヘッドバンド、または調整部分に破損や劣化がないか定期的に確認してください。劣化が見られる場合は、交換用部品を購入するか、新しいイヤーマフに交換する必要があります。
- 適切な場所に保管
以上のメンテナンス方法を実践することで、耳栓やイヤーマフの効果を維持し、長く快適に使用することができます。
まとめ
耳栓やイヤーマフの選定する際は、使用目的を明確にすることが大事ですが、騒音の大きさや種類によっては効果が出ない事もあるため、カタログスペックだけは満足する製品を見つけることは難しいです。
口コミなどを参考にして、いくつか試してみて自分合った物を見つけましょう。